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どうやら、激しいドアのオープンに巻き込まれた哀れな子猫ちゃんがいるようだ。
「あんた……バカじゃないの……」
目に涙を浮かべた女性がそこで倒れこんでいた。
「あ、あのぉ……」
オレは恐る恐る声をかける。
「みらくるこーぽれーしょん、の社長令嬢じゃないですよね?」
「何言ってんの!?脳みそ腐ってるの?ていうか、まず謝りなさいよ!」
「まことに申し訳ございませんでしたぁ!」
深々と頭を下げる。だが、オレの誠意は相手に伝わらなかったようだ。
「靴をなめなさい!」
「ん?」
「靴をなめろって言ってるのよ!」
「え?」
「靴を……」
「あ、あのさ、ここじゃ近所迷惑だし、中に入ろうぜ」
「お邪魔します!」
激怒の勢いのままお邪魔しますを言った彼女を家に招き入れ、扉を閉める。
近所の人の目が痛かった。都会には、KINJOZUKIAI、というものもあるらしい。近所の人と仲良くしなければならない、という絶対的な法則だ。
うちには椅子がないので、彼女は床に正座でちょこんと座っていた。
茶髪のポニーテール。少し釣り目だが、特別怖い顔というわけではなく、むしろむちゃくちゃかわいい。
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