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身長は平均的だが、強気な態度はむしろ幼さを感じさせる。
「えっと、どちら様?」
オレは恐る恐る尋ねる。星座した彼女は、鋭い目をオレに向ける。
なんで睨まれてるんだ!?
「名乗るときは自分から名乗るもんじゃないの?バカなの?」
「へぇ、へぇ、バカですよ……」
オレはため息をつく。その態度が気に入らなかったようだ。
「あんた、その態度はなんなのよ!せっかく入学式に来なかったから、今日もらった書類とか届けに来てあげたのよ!?感謝しなさいよ!崇めなさいよ!」
「おお、神よ……」
言われた通り崇めてみる。
お、オレは何をしているんだ、完全に彼女のペースにながされてるじゃないか。
さきほどのオレの崇め方で満足したのか、とても得意げな顔をしている。
あんなのでいいんだな。
「オレは早川風馬。そっちは?」
「あたしは高坂奈津美。あんたと同じクラスになったのよ」
「高坂さんね。なんだって、あんたがオレにプリントを?」
そう聞くと、ちょっと顔を赤らめ、うつむいた。
「そ、そんなことどうだっていいじゃない!」
どうだっていいといえばいいが……。
ふと外を見る。もう夕方だ。赤い風日が差し込む。火照った彼女の顔を夕日が照らす。
丹精な顔立ちに陰影ができ、より表情に深みが生まれる。
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