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「あのね、おねえちゃん、立候補してそれ届けにきたんだよお?」
ん?高坂さんの声にしては幼すぎる。どこからだ。どこからこの声が!
オレは周囲をきょろきょろと見渡す。
見渡したかいなく、玄関の方から中学生くらいであろう女の子が入ってきた。
「こら!!ななななな、なにいってんのよ咲!」
「おねえちゃんがね、学校で『わわわ、わたしがとどけまぁーっす!』って言ったの!で、恥ずかしいっていうから、私がついてきたんだよぉ」
うれしそうに手を挙げながら話す咲と呼ばれた女の子は、姉に似て端麗な顔をくしゃくしゃにして笑った。
「おにいちゃん、おねえちゃんね、朝遅刻しそうになってね、走ってたら道端で倒れてるおにいちゃん見つけたんだって!それでそれで、その人がかっこ……モゴモゴ」
顔を真っ赤にした高坂さんに口を押さえられる咲。
「えっと、二人は姉妹?」
「え、ええ、そうよ?」
高坂さんがタジタジと答える。
「それでねー!今日入学式に欠席した人がいて、もしかしたらあの人なんじゃないかって思ってきたんだって!おねえちゃんが言ってたー!!」
オレの質問に姉が回答してる隙に、最後まで話し切る妹。
高坂さんの顔がまっかっかだ。
「で、お目当ての人でしたかね……」
苦笑いを浮かべながら高坂さんの方を見やる。
「ううう……」
どんどん顔が赤くなる。
これはおもしろいな、もう少しいじめてみるか。
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