第2話 こんな姉妹はベタじゃない

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「おーい、高坂さん?」 「なによ!」 「はーい!」  二人同時に答える。そうか、二人とも高坂さんなんだな。 「はあ、ややこしいから、特別に奈津子と呼ぶことを許可するわ」 「そりゃどうも」  少し冷静さを取り戻したようだ。せっかくおもしろそうだったのに、もったいなかったな。 「姉妹できてくれるなんて、うれしいな。しかもどっちも美人ときた」 「おねえちゃんがついてきてっていったの!ねえ、咲美人なの!?ねえ!ねえ!」 「あ、ああ、とってもな」  精神年齢はむちゃくちゃ低いように見える。だが、きれいなのは事実だ。  奈津子の方を見ると、顔を真っ赤にしてうつむいている。強気なわりには非常に繊細な性格の持ち主であるようだ。  そう、ベタである!ツンデレとロリ!(オレはロリコンではない)  今日の2つの出来事を通して、わかったことがある。ベタは都会に存在する。  よく考えれば当然のことだ。人口の多い都会で起こる出来事がベタになるはずである。  ベタというのは、よくあること、という意味だ。なら、よくあることは都会で起こらなければならない。  田舎で起こることはベタにならないのだ。
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