第2話 こんな姉妹はベタじゃない

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「じゃあ、あたしたちはこれで帰るから」  赤くなった顔を隠すようにして奈津子が立ち上がる。  奈津子に寄り添うようにして、咲も立った。両手を振り上げながら。  非常に咲は挙動が大げさな癖があるようだ。 「咲ちゃんは、おねえちゃんの面倒見てあげえらいなぁ」 「まーねえ!」  自慢げに威張る咲。 「何言ってんのよ!逆よ逆!」 「……へいへい」  子供相手にむきになって、むしろこころが子供なのは奈津子だ。 「ほら、暗くなる前に帰れよ?」 「うん!」  玄関まで見送り、外へ追い出す。 「またねえー、ばいばい!」 「はいよ、ばいばい」  オレはへらへらと笑ってしまう。こういう純粋さは田舎も都会も変わらない。 「あんた、咲に騙されんじゃないわよ。この子本当はすっごい悪魔……」 「おねえちゃんウルサイヨ」  姉をにらむ妹の姿は、奈津子の言うとおり悪魔そのものであった。  前言撤回。都会の純粋さは、血塗られたかりそめの楽園のようだ。 「うっ……」  うろたえる奈津子。それでも仲が良いのだから、心はつながっているのだろう。
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