第3話 幼馴染はベタじゃない

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 近くのコンビニに来る。日は沈み、あたりは暗くなる。が、明るい。これが、都会の明かりというものだ。都会の雰囲気には多少は慣れたのだが、この明るさにはどうしても違和感を感じてしまう。  6時にでもなれば真っ暗だったものだが、ここでは日付が変わる瞬間でも明るい。  ウィーン。自動ドアだ。これまたすごい。ドアというのは、取っ手があって、それを手でつかみ明けるものだ。  人生においても、扉は自分の手で開ける必要がある。だが、ここ都会では、自動で扉が開くのだ。  都会での人生は、きっとちょろい。  そんなことを考えながら店内に入る。飲み物が売っているのは一番奥だ。  大人向けの雑誌を横目に奥へ向かう。  別に興味があるわけじゃない。だが、ないわけでもない。  えっと……コーラ……。あ、あった。 「いらっしゃいませぇ」  女性店員の明るい声が聞こえる。当然、本当にいらっしゃいとは思っていないのだ。オレにはわかる。  田舎のお店は、客自体が少ない。人口が少ないから。  だから、田舎のいらっしゃいませ、には魂がこもっている。  それに比べて、都会でのいらっしゃいませ、は機械的だ。マイクレオナルドバーガーの店員のスマイルは0円だ。  しかし、商品の魅力はすごい。ハンバーガーはうまい。この世の食べ物とは思えないほどに。 「あ……」  
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