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女性店員がなにやら声を出した。働くというのも大変だ。
もちろん、オレもアルバイトをしている。しなければ生活できない。ガソリンスタンドの警備員だ。空手経験者というだけで、採用されてしまった。
どうやら、都会のガソリンスタンドには、ファイターが現れるらしい。
「う……あ……」
女性店員がうるさい。
ふっ、すまないが、君たちに気を使うほどオレはお人よしじゃない。オレは今どちらのメーカーのコーラを買うか決めるのに忙しいのだ。
どうしても助けてほしければ、オレがどちらのコーラにするか、ゼロカロリーにするか否かを決めてから言ってくれ。
ふと、カルピスソーダが目に入る。これも捨てがたい。
その時だった。下からスコールが輝きを放った。
あらゆるジュースがまるで宝石のように感じる。
「あ、あの……」
女性店員は宝石のようには感じない。
「足……」
「あ、すいません」
オレは足を上げる。どうやら、店員のズボンのすそを踏んでいたようだった。
むちゃくちゃ恥ずかしい。本当に申し訳ない。
「ん? ほのか?」
そうだ、この店員は、幼馴染のほのかだ。
「え!? その声は……風馬?」
顔を見ているのに、その声は、というその言葉に違和感を感じながらも、知っている顔との再会に少し安心感を覚える。
「どうしてお前がここに!?」
そうだ、人口の少ない田舎。全校生徒10人の学校で、いつも一緒だったほのかだ。
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