第3話 幼馴染はベタじゃない

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 オレが東京へ行くといったとき、ひどく反対したものだった。  オレとしてはそれがすごくうざかったのだが、こちらに来てからとても心細かった。  長年隣にいた人がいないというさみしさを心から痛感したのだった。  そのほのかが今目の前にいるのだ。  鈴木ほのか。彼女は田舎で両親の畑仕事の後を継ぐはずだった。 「い、家出しちゃった」 「家出!? なんでまた!?」 「風馬が東京でちゃったから、さみしくてほのかも東京行きたい、って言ったらすごく怒られちゃって……飛び出して東京まで来ちゃったの」 「……ふぇぇ」  なんとうか、これが彼女の性格なのである。思い立ったことはすぐに行動に移してしまうのだ。  後先など考えず、純粋な心で思ったままのことをする。それが長所でもあり、短所でもある。  別れたのはつい2か月ほど前のことなので、容姿は変わっていないが、ツインテールをほどき、黒髪をそのまま流していた。  とてもきれいなのだが、長年一緒に居すぎたせいで、女性として見ることができない。  どちらかというと、兄弟に近い関係なのだ。 「東京に来たのはいいけど、風馬がどこにいるのかわからなくて、それで、お金なくなっちゃったからここで働きながら風馬さがしてたの……」 「お前、どこに住んでたんだ?」  オレの家は、東京に住んでいる親戚が手配してくれたものだった。不動産屋で働いているおじさんは、ラーメンのチェーン店の社長で、非常にお金持ちだ。  オレはこのおじさんの成功を夢見て東京に来た、という理由もあった。
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