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腕時計の時間は……8時50分……。目覚まし時計は、7時。
「とまってるじゃねえか!」
もうダッシュで家を飛び出す。足元に違和感があるが、おそらく靴が左右反対だ!だが、そんなことはどうだっていい。
「結局ベタかよ!」
舌打ちをしながらそんなことをつぶやく。体力には自信がある。入学式は9時から。大丈夫、全力で飛ばせばギリギリ間に合う。
都会とはいっても、ここは閑静な住宅街。都会へのアクセスはいいのだが、期待していたのとはずいぶんと違う。
タッタッタッタッタッタ。足音が響く。くそっ、しんどい。だが、ここであきらめるわけにはいかない。
「はっ、はっ、はっ」
息が荒れる。道行く人はオレを奇怪なものをみるような目で見つめる。
オレだって好きで走っているわけではない。時計が悪いのだ。
曲がり角だ。ここで美少女とぶつかれば、オレの青春はベタづくし……。
キュッ。ボスッ!バタン!
擬音語だらけで申し訳ないが、カーブしてぶつかって倒れたのだ。
「いったぁい」
「あ、わ、悪い、大丈夫か?」
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