第1話 ベタが1番ベタじゃない

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 そう言いつつオレは顔を上げる。もうこうなればベタに生きるしかない。 「だ、大丈夫ですぅ……こちらこそ申し訳ありませんでしたですぅ……」  そこに倒れていたのは、文字通り美少女。優しそうなたれ目に、パーマを当てたクリーム色の髪。服装は……ドレス?コスプレ?よくわからないが、都会というのはこういうところなのだろう。  きっとこの子は同じクラスで、隣の席になり、結果付き合って結婚することになるのだ。  というわけで、オレは予期せずして運命の人と巡り合うことになったのである!  ……カチャ。機械音。同時に背中に冷たいものがあたる。 「動くな」 「へ?」  振り向くと、そこに立っていたのは黒ずくめの男性であった。タキシードを着て、サングラスをかけた文字通りのボディーガードといった感じだ。  向けられた銃口。なに。オレ撃たれるの!? 「オウ!ソーリーソリー!アイムソーリー!アンドユー?」  日本は拳銃の持ち込みは禁止だ。だとすれば、こいつは海外のマフィア。英語で謝らなければ……。  混乱した頭でそこまで考えた時、たれ目女が声を上げた。 「待ってください!わたくしの不注意でぶつかってしまったのです!」  泣きそうな声。 「しかし……」 「その銃を下してください!」 「かしこまりました」  そういうと、タキシードサングラスバカは、銃を下した。
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