第1話 ベタが1番ベタじゃない

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「ちょ、ちょ、え?なんで?え?」 「大変申し訳ありませんでした。わたくしのご注意で危ない目に合わせてしまいまして」 「あ、いえ、こちらこそ」  ポンポンと服を払うと、彼女は手を差し伸べた。握手をする。  カチャ。機械音。同時に背中に冷たいものが当たる。 「動くな」 「へ?」 「エリス様に触れるな」 「やめてください!」  エリス様とやらのおかげで、再び銃口が下される。 「いったい……」  垂れる汗を拭きながらオレは尋ねる。 「わたくしは、上条エリス。フランスと日本とハーフなのです」 「エリス様は、世界中で活躍しておられる、ミラクルコーポレーションの社長令嬢でおられます」 「み、みらくるこーぽれーしょん……」  田舎者のオレにはよくわからないが、それって非常にナンセンスなネーミングセンスなのではないだろうか。  口に出すと銃口を突きつけられるのはわかっていたので、オレはのどでしっかりとブロックした。 「えっと、エリス様……?」 「エリスで結構ですわよ?」 「じゃあ、エリス、君みたいな人が、どうしてこんなところで……」  カチャ。機械音。同時に背中に冷たいものが……
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