第1話 ベタが1番ベタじゃない

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―――――――――――――――――――――  どうやら、令嬢は普通に日本に住んでいるらしい。ハーフで社長令嬢といったら、海外に住んでいて、日本に帰ってきたばかりの時にオレと出会って恋に落ちるパターンかと思っていたのだが、現実はそれほどベタではない。  とはいったものの、同じ学校のようだった。しかも、先輩。1つ年上だったのだ。一見そんな風には見えないのだが。 「へぇ、そうなんですか。今年から後輩になるのですね!」 「ええ、まあ……」  何か忘れているような気がするのだが……。 「あ!入学式!」 「ふえ!?わたくしはエリスですよ!?」 「そうじゃなくて、今日入学式なんです!ああ……もう始まってる」 「わ、わたしのせいですよね……すいません……ごめんなさい……ううっ、ぐすんっ」 「あ!いえ!すいません!泣かないで!」  必死にあやすものの、彼女は一向に泣き止まない。このままでは入学式は終わってしまうのではないだろうか。  案の定背中に銃口が突きつけられる。だが、オレはもう動じない。どうせ撃たない。 「ええっと……いないいないばぁ!」  とんでもないことをしてしまった。  が、しかし。 「きゃははっ」  機嫌は直ってしまったのだ。
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