第1話 ベタが1番ベタじゃない

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「入学式より、先輩の体の方が大事だしさ」  ヘタな発言は命取りだ。脳天に穴をあけられる。オレは慎重に言葉を選びながら、好青年にならなければならない。 「え、そ、それは……」  エリスの顔がぽっと赤くなる。て、照れているのか……? 「そこの方、手伝ってもらえますか?」 「車を手配してくる。エリス様を死守せよ」  死守ってなんだよ。案外、エリスのことほったらかすの平気なんだな。 「あ、あの、お名前を……」 「風馬、早川風馬だよ」 「ふーくん!」 「ふ、ふーくん!?」  ふーくんって何!? 「卒業式より、わたくしのことを選んでくださって、ありがとうございます」 「いや、卒業式よりわたくしのこと選んだっていうか……ね?」 「初めて見たときから、わたくしもふーくんのこと素敵だなって思ってました。衝突してしまったことも、もしかしたら運命なのかな……って」 「違うと思いますよ!?」 「だから、もう覚悟はできているんです。入学式の代わりに、結婚式をしましょう!」 「ふぇっ?」
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