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 毎年隣に座った彼は、今年は別の女子に代わる。いつも元気で騒がしい、自分とは正反対の性格。周りは初めて見るようなよく知らない生徒、去年のクラスでも苦手だった生徒。  ──そして何より、彼がいない──。  分かっている、今までのはただの偶然だったことは。  分かっている、彼が自分のことを何とも思っていないことは。  分かっている、自分と瓜二つの彼女が、自分と魂を分けた彼女が彼にとってどれだけ大切な存在なのかは。  彼女は気付いていないはずだ、彼が自信をどう思っているのかを。だからこそ、その優しさが身に、心に突き刺さる。どれだけ親身に相談に乗ってくれても、それもみんな虚しい気がしている、私の心に気付かない優しさが、辛い。無口な彼が、彼女とだけは饒舌に話しているのを見るのが、辛い。  そして、いつも隣にいるのに、彼は私を見ていない。そう気付いてしまったことが、辛い──。  無駄に鋭敏なくらいなら、もっと鈍感で馬鹿な方がよかった。  無理に自分を偽って過ごすより、もっと明るく生きた方がよかった。  ──自分が持っているものを彼女は持っていない。  鋭敏さも。偽善も。恋心も。悩みも。──彼女が全て私に与えたように。そう考える暗い感情も、私しか持っていない。  夕焼け空の下、彼女と二人、並んで歩く。  気付けば横に並ぶ、高い影。  一粒の涙のように、小さな桜の花びらが一つ、夕闇の中へ落ちていった。           (Fin.)
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