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見つかった遺体は全て男性だった
すぐさま事情聴取に連れて行かれた両親は、朱星の事を話したが、勘治と朱星は籍を入れておらず、また朱星はどこの村から連れて来たのかを誰にも喋っていなかった為に、行方はようと知れなかった
昭之も何度か事情聴取に呼ばれているうちに、兄、勘治はその肉を食べると不老不死となる伝説の人魚の研究の為の実験材料として、朱星を人魚の村と噂されている場所から連れて来たのだと知れた
人魚は食すると死なない体を手に入れる事が出来るが、その性格は獰猛で人の肉を好んで食べると言われている
警察は朱星と朱星の村の住民全員を重要参考人として、特高含めかなりの人数を投入したが、勘治の研究自体が天皇陛下及び大日本帝国の為の極秘任務であったが為に朱星どころか村の場所さえも解らず、結局のところ研究員は全員死んでいるのだから、村人の残虐性と人肉を好むところは噂通りだとしても、不老不死の噂は嘘だったのだと結論付けられ、犯人不明のままうやむやに事件は幕を閉じた
他の研究員の遺族には申し訳ないが、義理とはいえ自分の息子の遺体がせめて綺麗なまま帰って来たのは唯一の救いだ
と、母親は涙ながらに呟いた
研究の為だったのかもしれないが、一時でも夫婦のような関係になったのだから、朱星も多少の情はあったのかもしれない
皆そのように納得して勘治の死を受け入れた。その後は太平洋戦争の混乱もあり、結局、最終的に昭之の元に残った物は必要がなくなったからと返された勘治の日記のみで、残りは全て戦争の炎の中に消えてしまった
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