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新聞の切り抜きには記憶の通り、4人の惨殺死体と別室に日本刀で切られた勘治の死体が発見されたという記事が書かれていた
惨殺された4人と勘治は同じ研究所で働く仲間だったようで、新聞には何の研究だったかは書いてなかったが、4人は何かに食い荒らされた後があり、刀傷以外は綺麗なままの勘治とは明らかな差があり、この差はいったい何かとこの記事は続報を待つよう締められている
しかし、当時は太平洋戦争に向かう最中で、検閲にあったか時節柄好ましくないと判断されたが続報はなく、家族である祖父も理由を知る事はなかった
僕もこの記事を初めて見せて貰ったのが小学校の高学年になろうという年だったのだろうと思うのだが、恐ろしいような心躍るような気持ちになった事を思い出した
勘治の日記の方も表紙を覚えていたので中も覗いてみたが、神経質そうな手書きの文字がびっしりと並び、さすがに読み通す気にはなれなかったのか、書いてある事は何も覚えていなかった
祖父の日記は初めて見るが、書いた当人が亡くなっているとはいえ、当人をよく知っているしまだ亡くなって間がない事もあって、読んでよいものやら、少し迷う
迷ったが、何かしら遺言めいた事を残しているとも限らないので、とりあえず最終ページだけはめくってみる事にした
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