祖父の日記

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ここまで書いて、本当は書かねば良かったのではないかと惑う 身内の恥と想えば関係者も既に皆故人となっている事だし、私がこれらを全て処分して墓場へ持って行けばよいのだが、捨ててしまおうと思うと誰か1人くらいは知っていて欲しいと欲が出て捨てる手を止めてしまう そんなこんなで惑い続けて歳を重ねてしまったが、今年こそは今年こそはと朱星(=あかほし)に全てを託そうと思い続けていまだに手元に置いてある始末 処分するかどうかは彼女に託せばよいのだ。いずれは兄と彼女の話なのだから もし、もし仮に私が誰にも何も告げる事が出来ずに死ぬ事があるならば、もし仮にそうやって死んだ後にこの日記を読んだ人があるならば、どうか誰にも知らせずに朱星にこれらを届けて欲しい そうならないのが一番なのだが、ここしばらく調子の悪い時があるようになったので、遺言代わりのささやかなお願いを記しておこうと思う
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