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祖父の日記は半分を少し過ぎた辺りで止まっていて、残りはずっと白紙だった
朱星とは確か……
朱星という文字を見て、昔の祖父が語ってくれた勘治の物語を思い出す
祖父の歳の離れた兄、勘治は何らかの研究をしていて、その研究の為に訪れた村で朱星と知り合い恋に落ちる
駆け落ちのように東京へ帰って来た二人は、勘治の研究室で暮らし始めるが、やがて反対をしていた村人がやって来て勘治と研究員4人を殺してしまうのだ
綺麗に保たれた遺体は勘治のみで、残りの4人はほぼ食い荒らされた状態で、骨が見えている部分もあったらしい
勘治の遺体が他と違っているのは、大方の見解は曲がりなりにも朱星の亭主であったのだからという、慈悲の心だろうと言う事であったが、朱星をそそのかしたのは勘治なのだ。僕が村人ならば関係のない4人を無惨に殺すよりも勘治をめちゃくちゃにしてやりたいと思うだろう
惨殺された4人の中に女性がいなかったから、朱星は連れ戻されたのだと初めて知った。なんとなく、一緒に殺されたか生きてはいないと思い込んでいた
そうだ。祖父が勘治の話をする時はいつも、この惨殺の話がラストでその後の話がなかったのだ
僕は祖父の日記を好奇心に負けて最初に戻って読み進める
聞かせて貰えなかった後日譚を知る為に……
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