東京

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事件は朱星が研究室に来てから、3ヶ月程経った頃だった 事件を発見したのは、その時ちょうど風邪をひいて休んでいた下働きの権蔵だった 研究室の外からでも、何か異様な雰囲気が漂っている気がして胸騒ぎがしたと新聞に書かれていたが、それもそのはず。室内に一歩入ればむせかえるような血の臭いが充満し、生きたまま切り裂かれたのだろうと想像を容易にさせるくらい勢いよく天井まで血がべっとりとついていた 研究室にあった遺体は4つあったのだが、権蔵には何人の遺体なのか人間の遺体なのかすら判別がつかなかった なぜなら、4人の遺体は何かに食い荒らされているような状態でバラバラに散らばっており、中には骨が見えるほど綺麗に肉がなくなっている部分もあった 権蔵はこの時点で慌てて最寄りの交番に走り、警察官を呼んでいる 交番の警察官は野犬の仕業だろうと軽く受け流していたのだが、奥の勘治と朱星の部屋を確かめようとドアに手をかけると、扉は閉まっていた そして無理やりこじ開けたところ、日本刀で刺し殺された変わり果てた勘治をみつけたのであった
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