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傭兵には二つの種類がある。
一つは、特定の国に滞在し、基本的にその国のためだけに仕事をするというもの。
このタイプの傭兵は、他国の利益に繋がるようなことはまずしない。
金銭で雇ってもらいこそすれ、国への愛は大なり小なりあると言えよう。
そしてもう一つが、シャドウが生業とするフリーの傭兵……通称【孤狼人(ころうびと)】と呼ばれるものである。
こちらは一つの国に留まるようなことはせず、国から国へと渡り歩いて活動する奔放なタイプだ。
東の国には利益をもたらし、西の国には損害を与える。
それが数ヶ月後には、西の国に利益をもたらし、東の国に損害を与えるという全く逆の立場となっても、何も不思議はない。
……それが戦争であれば、一時は味方として戦った軍勢を、一転し全員敵とすることもあるということだ。
国への愛など無いと言っても過言ではない。
国どころか、味方に対する意識も危ういものである。
全員が味方で、全員が敵のようなものなのだから。
その背景から、彼らが背負う精神的負担は計り知れないものだと言われ、好き好んでその道を選ぶ者は非常に少ない。
味方だからと気を許してはならない。今周りにいる人間が、いつか全員敵になる可能性もある。
となれば、間違っても誰かと親睦を深めるようなことをしてはいけない。その者を敵とした時、双方悩むことのないように。
孤独に生きる覚悟をした者だけが選ぶ道であり、そういう意味でも希少な存在なのだ。
そういった一匹狼のような生き様を強いられることから、『孤独な狼のごとき旅人』……孤狼人と呼ばれるのだという。
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