エピローグ~あなたに溺れる

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それは、ショルダーバッグの中にあった。 音が大きかったわけでもないのに、奈緒子の耳にはっきり聞こえたのは、やはり神経が昂ぶっているせいなのかもしれない。 横で寝る尚哉は、まだ目覚めては いなかった。 寝顔を見るのは、初めてではない。 先週の金曜日の夜、カラオケボックスで、尚哉は奈緒子の膝枕で眠ったから。 それは、単なる戯れだった。 でも、これからは違う。 愛しくてたまらない、尚哉の寝顔ーーー 鼻の下や顎にうっすらと髭が目立ち始めているーーーそれは、これから奈緒子の一部のようになるはずだ。 もう眠れそうもなくて、奈緒子はそっとダブルのベッドから抜け出した。 身に着けているのは、紅いパンティだけだった。
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