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~十鬼視点~
傷の調子が良く、妖力が安定してきた俺は町の中を歩いていた。
久しぶりにお気に入りの甘味屋に行き、意気揚々と帰路に着いた途端大雨が降ってきた。
俺は急いで木の下に雨宿りをする。
空を見れば少し前まで綺麗に見えていた青空が、鼠色のどんよりした雲に覆われていた。
おいおい、さっきまであんなに晴れてたのに、なんで雨が降るんだ?
嫌がらせか…俺に対する嫌がらせなのか。
怪我人なのに、大人しく寝ていない俺に対しての嫌がらせかコノヤロー。
十「やれやれ…」
空に愚痴を零したって、天気が変わるわけないもんな。
十一番組全員で雨乞いならぬ、晴れ乞いをしたら変わるかもしれないけど。
とにかく、俺ひとりの力じゃどうする事も出来ない。
雨が止むまでここで待っとくか。
しばらくボケーっとしながら雨宿りをしていると、傘を差す人影が見えた。
未「お兄ちゃん、見つけた!」
十「未香、それに千雪」
俺の所に来たのは相合傘をしている未香と千雪だった。…少し未香が羨ましい。
千「雨が降って困ってるんじゃないかと思って、迎えに来ました」
十「ありがとう、助かった…と言いたいところだが、俺の分の傘は?」
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