十鬼と総司のとある日の出来事

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「これなんかどうです。お客さんは色白ですから肌の色が映えると思いますよ」 「いやいや、こっちの方が…」 「それよりも…」 店に入った途端、俺は店の奴らに捕まった。店の奥から色んな着物を持ってきて、これはどうかと質問攻めにあっている。 おかげで俺は動けない状態だ。 こんなんじゃ、こいつらが長州の奴等だって証拠が掴めない。 総司は総司で俺を助けるどころか後ろで笑ってやがる。 「それにしても、お客さんの旦那様となる方はお綺麗ですね。自慢じゃないですか?」 突然店の奴が俺に話を振ってきた。 一瞬言葉に詰まるが、俺は総司の恋人になりきる。 十『ええ、そうなんです。宗次郎さんは私の自慢の方なんです。でも、私は宗次郎さんの顔よりも性格の方が好きなんです。 私が人に絡まれてると、すぐに間に割って入って助けてくれるんですよ。それに努力家だし、一緒にいると楽しい。…本当に素敵な人です』 そう言えば、店の奴らは「こんな嫁さんが欲しい」とか言い始めた。 「愛されてますね。羨ましいです」 店の奴が総司に向かって言う。すると、総司が俺に近づいてきた。 そして、俺の髪を一房手に取って、そこに口づけた。 沖「浅葱。僕も君は素晴らしい女性だと思うよ。僕には勿体無いぐらいね?早く君と一緒になりたいよ」 ちょっと総司くぅぅぅん!?! 人前で何言ってるの!?何してるのォ!? かなり恥ずかしいんだけどォ!! ちょっと待ってェェェ!!顔から火が出そうなんだけど!!
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