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十「うんにゃ。むしろ未香と引っ付いてんのは涼しんだよな」
沖「嘘でしょ」
十「本当だよん」
僕は暑苦しいふたりをジトッと見た。
確かに、十鬼も未香ちゃんも汗一つ掻いてない。暑さを感じていない様に見える。
未「沖田さん、私をギュッとしてみますか?」
沖「はっ!?」
未香ちゃんの突然の申し出に、僕は少し上擦った声が出てしまった。
こんな声、生まれて初めて出したよ。
十「え~。もうちょっと俺の所に居ろよ」
未「お兄ちゃんは十分涼んだでしょ」
十「ちぇっ」
十鬼が未香ちゃんから手を離す。
未「沖田さん、膝の上に座ってもいいですか?」
早鐘を打つ心臓を感じながら僕はコクリと頷いた。
未「それじゃ、遠慮なく。…よいしょっと」
僕の膝に未香ちゃんの重みが掛かる。その瞬間、未香ちゃんの香りが鼻を通って、僕の胸はさらに高鳴った。
このままじゃ、心臓がもたない…。
未「涼しいですか?」
正直僕は緊張のあまり体が燃えるように熱い。だから未香ちゃんが冷たいかどうか分からなかった。
不意に、未香ちゃんの異様に冷たい手が首筋に触れて、思わず体をビクッと震わせてしまう。
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