盆地の暑さって尋常じゃないよね

4/6
前へ
/70ページ
次へ
未「?沖田さん、体が熱いですよ。熱でもあるんじゃないですか?」 十「大丈夫だよ。総司は元気だから」 未「でも、本当に沖田さんの体は熱いよ」 十「まぁ、それは男の事情だよ♪」 未「男の事情?」 沖「未香ちゃんは知らなくていいから」 僕はキッと十鬼を睨みつけた。十鬼はニヤニヤと意地悪な笑みを浮かべている。 どうやら未香ちゃんを奪われた腹いせらしい。 十「さ~てと、俺はそろそろ部屋に戻るか。夕方までに終わらせないといけない書類があるからな」 十鬼は立ち上がり、廊下の角を曲がる。その途中、顔だけ僕に向けて意味深の笑みをして去っていった。 未「あらら、お兄ちゃん行っちゃった。…沖田さん」 沖「なっ、何?」 未「何だか眠くなっちゃいました。このまま少しだけ眠ってもいいですか?」 小さな欠伸をする未香ちゃん。 寝るって…僕の膝の上で? 沖「…いいよ」 好きな女の子と触れ合えれるんだ。嫌なはずがない。 未「ありがとうございます。おやすみなさい」 未香ちゃんが僕の背に腕を回し、胸に顔を埋めた。 くっ…可愛い。 思わず未香ちゃんの体を抱きしめる。 未「むにゃ…沖田さん、甘い匂いがする」 沖「甘い匂い?」 未「甘味の良い匂い…」 甘味の匂いか…。さっき甘味を食べたからかな。 沖「…明日、一緒に甘味屋に行く?未香ちゃんも食べれるお団子があるお店」 未「わ~い…、ありがとう、ございます…。行きま‥す…。スピー」 未香ちゃんが寝てしまった。 無邪気な寝顔に思わず、笑みが零れてしまう。 沖「可愛い寝顔だな…」 僕の手が無意識に未香ちゃんの前髪を払った。そして、露わになった額に口づけをする。 沖「明日の駄賃は貰ったからね、未香ちゃん」 僕は未香ちゃんの目が覚めるまで、彼女の冷たい体を抱きしめた。
/70ページ

最初のコメントを投稿しよう!

209人が本棚に入れています
本棚に追加