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大事なシリアスシーンを妨害されたルシファー様は、一つ咳払いをした後再び私を指差す。
そして、よく響く大きな声で叫びました。
「名も無き鳥よ!
今より貴様には、世界を巡り悪を広める使命の為に旅立ってもらう!!
我がヴァニッシュメントの『騒動課』として、世界に闇を植え付けてやるのだ!!
全ての人々を罪に落とし、全ての生命に罰を与え、万物を絶望に染め上げる!!
争いの火種を!憎悪の感情を!地に!天に!渦巻かせるのだ!!!!」
「要するに出張ですね」
「そうとも言う」
ルシファー様はあっさりと認めました。テンションが上がっていつの間にか立ち上がられていましたが、再びゆっくりと椅子に腰を収めます。
出張。つまり私に世界中を旅しながら負の感情や争い、事件等の『悪いこと』を広めろと言うことですね。
そんな簡単なことなら、もっと端折って説明出来たでしょう。ルシファー様はそこそこ馬鹿なのかもしれません。
(しかし馬鹿と言ってしまうと私の給料がカットされてしまうので、ここは口を閉じておきます)
「しかしお言葉ですがルシファー様。出張は経費が嵩むから嫌だと言ってませんでした?つい昨日」
「あぁ、それだがな。だからこそ貴様が最適なのだ!
貴様は鳥だ。その背中には翼がある。だから空が飛べるだろう。これで交通費は浮くぞ!」
「まぁ、そうですね。海中に潜るとか、大気圏に突入するとか言う展開さえ無ければそうなります」
余談ですが、翼があるからと言って鳥の全てが空を飛べる訳ではありません。
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