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しかしどうして、そんな決まりがあるんですかね?
……いえ別に人を殺したい訳じゃありませんよ。人を殺めるのは悪い事だと思います不可抗力以外。
「理由をお聞きしてもよろしいですか?」
これってもしや、過去にルシファー様も大切な方を亡くされて深い悲しみを背負った経験があるというヤツでしょうか。
そんな安いエピソードはいらんと思いますけどね。悪の組織ですし。
「理由か。……簡単だ。
命を奪うと始末が面倒くさい。俺の仕事が増える。諸々」
「うっかり手が滑ったらごめんなさいってことで」
「貴っ様ああああ!!」
訂正します。ルシファー様にそんなエピソード自体ありませんでした。
「嘘ですよ。私もホイホイそういうことしたくないですし。
……となると、人畜無害で事件を起こさなければいけないんですね。
いやぁ、私が探偵だったら、お気の毒ですがここでの話は終了してましたね。探偵は人が死なないとスタートできませんから」
「他所の悪口を平然と吐くな。
まぁ、それについてだが……慈悲深い俺様から貴様に一つ、プレゼントをくれてやろう!」
「有り難うございます〇SP下さい」
「誰がゲーム機をやると言った!」
チッ、残念です。
テンションだだ下がりの私を余所に、ルシファー様は目の前に一本の大きな鎌を差し出してきました。英語で言うとデスサイズです。
しかしその等身は小柄な私にとっては大きく、柄の部分だけで身長を超えています。
よく見るとこの鎌、両刃になっているらしく、奇妙なことに刃紋を中心に下は黒、上は白といった色に分けられている。
使いこなせれば縦横無尽に敵を裂く凶器になりそうですが、私には振り回すこと自体難しそうです。
いや、それより……。
「ルシファー様……人を殺すなと言った矢先にこれですか……。今からボケが始まるとなると、未来は絶望的ですね……」
「貴様尽く癇に障るな」
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