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大丈夫か、と歩きながらウィンシアが心配そうに訊いてくれる。
「…ウィンシア」
「うん?」
「実はあたし…、これまで男のひとと付き合ったことないのよ。だから…」
「いきなり大物だな」
「あたし、気づいてなかったの。これまでフェシルさまがいっぱいの気持ちを…抱えてたこと」
「長だから言えなかったんだろ」
「うん…。二人とも片思い」
「なんだそのふざけた恋愛」
そうだよね、とセリューナが笑う。
急に、笑顔を消した。
「笑ってるけどあたしだって、平気なわけじゃないよ」
ウィンシアの腕にすがりついた。
「…こわかった。入り日送りで獣に襲われて…。居城に戻ったら雄意で、フェシルさまが大事なひとたちと戦うって…、もし、もしフェシルさまに何かあったら…」
「セリューナ…」
「ごめんね…、変なこと言って」
「これからは私がいるよ。そのための護衛役だ」
「…いい。長の命令以上のことさせたら、フェシルさまに怒られる。護衛役がウィンシアじゃなくなるのあたし…いやだから」
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