第4話

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これらは全部、ママのお姉ちゃんである 山梨のおばちゃんから聞いた話だ。 ママは私の前ではそんな暗いことは一言も口には出さず、 私を大切にしてくれて 明るく育ててくれた。 ま、思春期にはいろいろぶつかることもあったけど、 3LDKの中古マンションのローンも数年前に完済し、 今は母子でそれなりの暮らしをしていて…、 私は幸せ者だと思う。 「大体、急すぎるよ。 着ていく服がないのに…」 「落合さんの結婚式に着ていった時のワンピースでいいじゃない。  それに、そんなにめかしこまず普段着でいいって」 どうあっても行かせるつもりらしい。 「あ、なんなら、ママが昔着た、数回しか袖通してないワンピあるけど?」 「ママ…、ビンテージというにはほど遠い代物だよ、あれは」 色あせてるのに。 どうして未だに捨てずに持ってるのか、不思議。
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