敬祐の過去

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体育館での入学式は1時間にも及んだ。 出席番号順というものに並び替えたため、中原くん…じゃなくて健一とはあの後すぐに離れてしまった。 前の女の子はその前の女の子と楽しそうにお話していて、後ろの男の子は今にも寝そうな顔で俯いていたため話すことは出来ない。 こうなるとスロースターターは何もできなくなってしまう。そのため、式中はずっと一人で立ちっぱなしの疲れと戦っていた。 今は1年5組と書かれた教室にいる。 席に座ろうとした時に後ろから健一が声をかけてきた。 健「よっ。 クラスに中学の知り合いいる?」 敬「いないよ。 てか同じ中学のやつが少ない。」 健「まじか!それは辛い。 入学式ずっと中学のやつがいるクラスいたわ。」 敬「いいなぁ知り合いがいるの。」 健「みんなで合わせてここ受験したからね。 まさかの全員合格。笑うっしょ。」 敬「まじ!? すげーな笑」 この人、話を広げるのが上手いと思った。 俺はそれに相槌を打っているだけにも関わらず話を続けられているのだから。 気付けばクラスの周りにはあまり話している人がいないことに気づいた。 スロースターター脱出かもしれない。
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