第3話 儚い生と想い

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 情報部は了解と言って無線機を操作する。しかしどんなに少将の部隊からは何も応答はなかった。 「リンク大将、応答がありません。もしかすると向こうの通信機に異常が発生したものとみられます。各戦闘機や母艦、軍営や駐屯地全て共に繋がる様子もみられません。」  情報部の一人からの報告に、この場の全員が驚いた。敵軍が多く攻め入るアリステでさえ通信ができた。エリア3の情報が全く分からなかった。 「レン、カヴィレント君の『TH』のアドレスを知っているな。一応掛けてくれ電波の周波数が軍事のものとは違うはずだ。彼女の安否確認と情報聞き取りをしてくれ。」 「あぁ、わかっているさ。」  レンはそう言いながら急いで手提げ鞄からTHを取り出し操作し始めた。しかしその時、通信機に反応があった。 ―――キィーッ、ザ、ザ、ザッ、ザザッ…―――  急にどこからかキャッチしたようで通信されてきたのだ。 「リンク大将、エリア3内からの電波をキャッチしました。」 「何?ロノんちのエリアだと?」  レンは驚きながら総本部へ繋がせた。 『リンク陸軍最高指令官、我がライド大帝国の先端技術でエリア3領域内の電波を他の波に変換させていただきました。結構本部も動揺してますね、まさかこんな簡単に入り込めるとは…。常夜の国、ダークナイツですか、これではわが国には到底敵いませんよ。中枢を成すものがこんなんでどうするのでしょうか?』  聞き覚えのない男の声が聞こえる。レンは目の色を変えた。 「誰だ貴様は。ライドの軍の者だな。情けない、我々の通信技術がこんなにもヤワだとは…かなりの欠陥だ。」 『ダークナイツは戦闘技術が発展していると聞いているのですがまさかこの程度でライドに負けまいとでも思っているのですか。早く我々にこの常夜の世界を譲ったほうがいいですよ、死なずに済む国民が殺されますよ。我々のもつ創る力で!』  この場にいた将校らは皆固まった。『創る力』とはどういう意味をするのか全く検討がつかなかった。
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