海沢真夏

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それから何日かが経ったある日の休み時間。 「あーどっかにいい出会いねーかなぁ」 廊下の壁にもたれかかりながら友達の山田がぼやく。 「高校になったらあるんじゃん?可愛い子いっぱい入ってくんだろ」 いちごオレを飲みながら、テキトーに返事を返す。 今はバスケ一筋。 彼女のことなんて考える余裕はなかった。 高校になったら、レギュラー争いが激しくなる。 今はレギュラーでも、うかうかしていられない。 その時、近くで高い声が聞こえた。 「ちょーっと!早く返しなさいよっ」 「やーだね!」 言い合う男女の声は、とても中学三年生には思えない。 小学生の言い争いかよ、と思いつつも目を移す。 「あ」 見た瞬間、思わず声が漏れた。 返せと言っている女子。 紛れもなくこの間保健室で見た女子だった。
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