-屈折の光-

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9月の教室って夏と秋の間って感じ。 少しむしむししてるけどひんやりとした空気の風が傍を通って。 もうすぐ、夏も終わりだなぁ。 あ、でも、もう終わってるのかな。 この前衣替えしたし。 でも、まだ暑いんだよね。 ガタっと隣の席の椅子が引かれて顔を上げる。 「あ、朔久(さく)くん、おはよう」 「…ああ、はよ」 ぶっきらぼうな声と共に挨拶が返ってくる。 中学から一緒の古賀朔久(こが)くん。 だからかな、朔久くんのことは下の名前で呼んでる。 「今日もぎりぎりセーフだね」 「まあな、走ってきたし」 時計を見ればチャイムが鳴る3分前。 遅刻ぎりぎり登校するのはいつものこと。 走ってきたせいで乱れた前髪が緩やかに風に揺れる。
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