-屈折の光-

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購買はいつもと変わらず人でごった返してる。 「はあ、ここは学年が変わっても、まったく状況が変わらないわ」 「本当に混んでるよね、毎回」 「ったく、少しは先輩を敬いなさいって感じ」 「とか言って真知も1年の時に散々先輩を押し退けてたじゃない」 「………こほん。まあ、とにかく早くしないと売り切れるし、ほらいくぞ!レッツゴー!」 「え、ちょっと待っ――」 言葉の勢い通り気合いを入れた真知はバーゲンセールのような人混みの中へ入っていってしまった。 完全に出遅れた。 もう、真知のばか…。 あたしも仕方なく人混みの端っこの方に入ってみようとする。 でも、 「きゃっ…」 瞬時にはじき飛ばされた。 ありえない、この戦争もどき。 毎回、本当に困るよ。 …あ。 ブレザーのポケットに入ってた生徒手帳が床に転がっていた。 校則守ってわざわざ持ってるんじゃなかったよ。 よいしょって、拾い上げようと手を伸ばすと反対側からも手が伸びてきてあたしの代わりにそれを拾う。
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