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「はい、どーぞ」
にこにこした笑顔であたしの手のひらに生徒手帳を乗せてくれたのは知らない男の子。
「あ、ありがとう」
「いえいえ。偉いですねー、ちゃんと生徒手帳持ち歩いてるなんて」
「え?…あ、たまたま持ってただけだよ」
「そうなんですか?でも、俺なんかもうなくしちゃいましたよ、多分」
「…そうなんだ」
ふと、足元を見ると学年別カラーのサンダルの色は1個下のもの。
だから、敬語だったんだ。
でも、初対面…だよね?
フレンドリーに話しかけてくるけど。
「ああ、いきなり話しかけてすみません。…高木(たかぎ)先輩」
「えっ…、何であたしの名前」
やっぱり知り合い…?
でも、見たことないし。
「ははっ、先輩ってもしかして天然です?書いてあるじゃないですかそこに」
彼が笑いながら指さしたのはあたしの手の中にあったもの。
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