-屈折の光-

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「誰よ、あの少年は」 「はい?」 「とぼけても無駄よ!あたしはこの両目でしっかりと見届けたわ、白状しなさい、美羽」 ずいっと迫ってくる真知の顔はどことなく楽しそう。 「…えっと、なんかいろいろ勘違いしてる?」 「? 何が」 「さっきの子はただ生徒手帳拾ってもらっただけだよ」 「えーーーーー!!!」 「ちょっ、声大きい」 ああ、また注目を浴びてしまった。 本日二度目。 「なーんだ、つまんないの。いい感じだと思ったのに」 「まさか、そんなわけないよ」 「えー、あっちはどう思ってるかわかんないじゃん」 「さっき知り合ったばっかだし」 「ふぅーん。ま、これからか」 「いや、何も始まらないし、多分」 「どうかねー。あ、あの子、名前は?」 「……イチくん」 「イチ?何イチ?」 「さあ、聞いてないや」 「はぁぁぁぁぁぁあ!?」 お願いだから、三度目はやめてー。
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