土に埋る彼女

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一際強い風が吹き、視界を花びらが埋め尽くす。 花びらが風と共に消え視界が開けた時には、確かに居た彼女の姿も、桜の木すらも消えていた。 まるで其処には最初から、何も存在して居なかったかの様に。 通りで、此処には誰も来なかった訳だ。 「ありがとう、春。」 もう一度、彼女に礼を言い、桜の木が存在していた場所とは、反対方向に歩き出す。 もう振り向きはしなかった。 前を向く勇気を、僕はまた彼女から貰ったのだから。 2014年 3月16日 00:26 完結
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