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先生を見た。この先生が俺の癖を治してくれるそうだ。俺は不服だが、ダチがカウンセラーに診て貰えと言うんだから仕方がない。
「えっと、君はみたところ素行の悪い生徒かな?」
「不良って言えよ、先生さんよ」
「じゃあ、不良の君はまたどうして診断に?」
元の造形が良いのか、酷く窶れた先生はよれた白衣から薬品の臭いを診察室に漂わせていた。ああ、でも診察室からも臭ってるか。
「なんかさ、ダチが言うんだよ。俺は直ぐかっとなっちまうってんで先生に態々会いに来たんだ。まー、俺も不思議でさ、ちょっとなにか言われたらなぐっちまう」
「成る程ね、でも君は今先生を殴ってないけど、それはかっとなる要因がないのか、我慢しているのか、どっち?」
「わかんねぇよ、なんか急になぐっちまうんだ。昨日もダチをなぐっちまって喧嘩になってさぁ」
右手に巻いた包帯、頬に張った絆創膏。口には痣が一つ。
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