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「───起きろッウェイバー!」
「ぐっほ!?」
衝撃と共に跳ねた体は一瞬の浮遊感…そして床に叩きつけられた更なる衝撃が背中に走る。
「ッてえな! まだ朝だろ!」
「朝だからさ! …ウェイバー、君も今日から騎士養成学校に通う事になるんだから少しは自覚を………って、ああ…! まだ荷物を纏めてすらいないのかい!?」
「……わ、わりい。」
朝から何とも機嫌の悪そうな我が幼馴染にして腐れ切った縁であるところの、キーストン=サルバートン君。
取り敢えず謝っとけば許される辺りが、まだ甘いお人好しである。
「…はぁ、こんな事だろうなと、一時間早く起こして正解だったな…。」
「い、一時間も!? 俺は寝るッもう一度寝る!」
「そうか。 永眠したいんだね?」
「……。 いや、起きます…」
そんなに爽やかな笑顔で言わないで欲しいものだ…青筋が隠れちゃいない。
「ここ、か。」
「…ああ、これからの僕たちが強くなって自身の道を見付けていくところだよ。」
王都から少し離れた所にあるこの巨大な建物は、知らない人が見れば此方が城だと勘違いしてしまいそうな程に荘厳な雰囲気を出していた。
始まるのだ、ここから。
俺はここで何かを得て、そしてあの日の自分を許せる日が来る事を───
きっと望んでいる。
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