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☆☆
「あら?寝ちゃったの?」
「えぇ、今日は一日中動き回ってましたから疲れてるんですわ。何時もならもっと粘りますから」
体力面では問題ないだろうけど精神面では疲れを感じているはず。その証拠に軽く寝かしつけただけであっという間に寝てしまった。
「ふふ、凄く安心した寝顔ね。2階に来なさい、ベットを貸してあげるわ。なんだったら今日止まっていきなさい、宝石を売るっていうことはまとまったお金がないってことでしょ?」
……門番といいジュリーといいこの街の人は何故こんなに良くしてくれるのでしょう?
まぁ、考えなくてもここの人達から感じられる暖かさで疑う必要もないのですけど。
「お言葉に甘えて泊まってよろしくて?瑠璃をあまり起こしたくはありませんの」
「そうねぇ、そんな穏やかで無邪気な寝顔を壊したくはないものね。この子が寝てる間に加工や売却の話、終わらせちゃいましょうか」
そう言ってジュリーは2階の客間に案内してくれた。
案内された部屋に入りゆっくりと背負っていた瑠璃をベットに降ろす。
「ん、くり…す…」
寝言で私の名を呼ぶ瑠璃の姿に愛おしさが募る、この子は寝てる時でも私の心を掴んで離さない。
それに何度暴走しかけ、何度救われたことか…。
服を破られ身体を触られ舐め回されて犯される寸前までされたあの初夏の出来事。
自分の心が弱く受け止めきれないほどのショックを受けたのを未だ鮮明に覚えている。
あの日以降他人が触った自分の身体が汚れたようで気持ち悪く、体が血を噴き出しても擦り続ける日が何日も続いた。
そんな時、瑠璃は私をずっと慰めてくれた…自分も同じ気持ちのはずなのに後回しにして私に安らぎを与え続けてくれた。
私をいの一番に優先し、自分を後回しにして助けようとしてくれた貴女に、その小さい身体で自分だけ背負い込もうとする貴女の助けになりたくて…。
そして気付けば、貴女に恋をしていた。
貴女を汚してはいけない、ずっと貴女の笑顔を見れればそれでいいと誓った恋をした日とこの世界に来て初めての夜。
でも、私も結局一人の人間でずっと我慢することなんてできない。
その証拠に地球で自制してたこの気持ちがメリアに来てから抑えることができなくなってきた。
だから私は貴女の隣を歩めるように、貴女に愛され必要とされるように頑張りますから覚悟しておくことをお勧めしますわ、瑠璃。
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