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皆、思い思いに動揺していた。
「悪いな、二千三百番...」
「ガチで教えるんですかー...」
二千三百番も皆と動揺していたが、あまとうが真に伝える気なのを悟り、説得を諦めた。
あまとうが、敵との情報交換を戦闘のジンクスとしているのを、彼が一番よく理解していたからだ。
それとは逆に、女は困惑していた。
「......なぜ、教える?」
それ自体は好都合だが、なんだか不安を感じてしまう。
「俺の流儀だ。自分がどうやって死んでいくのか、誰でも知っておきたいだろう...?」
俺も深くは知らないが、と前置きして、あまとうは自分の胸に手をおいた。
「ロリコンネットワークとは...“妄想”が生み出した夢にもっとも近い現実だ」
「......夢、だと?」
女は律儀にメモをとっていた。
「人には必ず夢がある。お金持ちになりたい、強くなりたい、空を自由に飛びたいな......」
女は書いていて、どこぞの青だぬきを思い浮かべた。
「だが、それは夢に終わる。『そんなことできる訳ない』『現実味を帯びない』と諦めてしまう...」
普通はな...と、呟いたところで、あまとうは両手を開くと、ロリコン全員を抱く様にその腕を開いた。
気が付くと、ロリコンたちは泣いていた。昔を思い浮かべているような、そんな遠い目をしていた。
「だが、俺たちは実現できる!たった1つの欲求をシンクロさせるだけで、俺たちは“力”を手にするんだ!!」
それを聞いて、女の中でひとつだけ疑問が解消された。
そんなことができるなら、誰だってロリコンになりたがるだろう。
「......世界各国でロリコンが増え始めているのはそれが原因か」
だが、根本的なことがまだわかっていない。
「ロリコンが、欲求を、シンクロさせて、なぜその空間がだせる?」
「それは深い所だな、俺にはわからん」
「......役立たずめ」
1番聞きたかった事を聞けず、女はつい、持っていたペンをへし折ってしまった。
自分でそれに驚き、後にため息をついてメモ帳をしまうと、代わりにあのムチを取り出した。
「参考までに、貴様らの手にする“力”とはなんだ?」
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