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「午前中は言わなかったんですけど......」
あまとうの初仕事も終わり、自分の牢でぐったりくつろいでいたところへ、二千三百番が切り出した。
現在、午後の23時。
皿洗いなんてすぐに終わるだろうと思っていたあまとうは、まさか日が沈んでも皿が洗い終わらないとは考えてもいなかった。
300万人分の皿を洗い終わった頃には、あまとうの手は年寄りの如くしわしわになっていた。
「......それは、今じゃないとダメな話か?」
「はい。できれば、急ぎで」
本当はもう意識を飛ばしてしまいたかったが、あまとうにとって二千三百番は大切な、数少ない友人の一人である。
適当にあしらうことは出来なかった。
身体を起こし、声を探る。別れ際にあいつの部屋を確認すべきだったと思いつつ、「それで、話ってなんだ?」と続けた。
「今日のアレ...覚えてますか?」
相変わらず声の出処はわからなかったが、その意味はよくわかった。
アレ、とは殺されたロリコンのことだろう。
「ここでは...ここじゃなくても、アレはよくある事の様で困っています。みんな、次は自分が殺されるんじゃないかって震えてるんですよ」
「だろうな......」
あまとうは、二千三百番が何を言いたいのか勘づいていた。
ロリコンたちに付けられている番号は、そのままロリコンとしての”強さ“を表している。
より性癖にこだわりがあったり、単に性欲が強かったり...。
それぞれの個性の強さが、ロリコンたちの強さなのだ。
そして、あまとうは四番──
「先輩に、俺たちの脱獄を手伝って欲しいんです!!」
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