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「こんなに雑魚だらけだとは意外だったな」
「笑止。貴様らにはこれで十分だ!」
カプスは、首に下げていた呼笛を鳴らす。
魔物が、キャンプ上空に集結する。
だが、その矢先に反対側からも轟が上がる。
カプスは、冷静に周囲を分析した。
乗り込んできた敵は、恐らく、二人。
正面と後方から侵入している。
狙いなど、封印石以外に他ならない。
カプスの前に居る中年の騎士は、以前、サルスの宮殿で自分の腕を切り落とした男だ。
ユズキの調査で、男の名前は割り出してある。
男の名前はシルエット。歴とした魔族だ。
「何をしに来た。その質問は愚問かな?」
カプスは、生きている手で、剣を抜いた。
「本当は、その質問に応える時間が勿体無い。だが、段取り的に聞かれたら言ってくれと誰かに言われた気がするんで言わざるをえないわけで。つまるところ、そうやってなにかを言うのもめんどうなわけだ」
シルエットの話が終わらないうちにカプスは、シルエットに斬りかかる。
「何を企んでいる!」
「まあ、段取りは、段取り。面倒くせえ。俺が死んだらどうしてくれるんだ?」
シルエットが、片足を引いて、カプスの剣を避けていた。
カプスは、シルエットを睨み付けて体勢を整える。
シルエットは、半歩引いただけで、カプスを攻撃する素振りを見せなかった。
「そうそう。あんた、剣は得意じゃねえらしいな? あんたのお友達がべらべらと喋ってくれたぜ?」
シルエットは、グタグタと言葉を発しながら、カプスを睨む。
「あのお喋り栗鼠!」
カプスは、重なる怒りをシルエットにぶつける。
「片手で剣を振るのは無理だろう。俺はそんなに弱くねえ!」
シルエットが、カプスの剣を難なく避ける。
呼笛で集めた魔物たちは、後方からの侵入者へ向かった。
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