2章 合流

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「しかも、お前、あれだってな。俺が利き手を切り落としたせいで、お得意の幻影術が使えねえんだよな!」 カプスは、シルエットに煽られ、自分のペースを完全に乱す。 「魔族のくせに」 カプスが言い返したつもりの一言は、シルエットを逆上させる。 次の瞬間、カプスの腹部に強烈な蹴りが叩き込まれた。 カプスは、その場に崩れた。自慢の羽根も動かない。 「元一軍の頭も形無しか?」 シルエットの挑発にカブスは、剣を握り返して斬りかかる。 そのカプスの後ろで、カチャリとなにかが外れた音がした。 「しかもな。お前さんが持ってるその剣。斬るより突き刺すほうが向いてるぜ?」 音に気を取られたカプスにしてみれば、シルエットのそのぼやきは、完全に雑音であった。 カプスは、音に振り替える。 ケテウスの篭の扉が開いていた。 「ほら、余所見すんな!」 シルエットが、そこへ来て剣を抜いた。カプスは、身体を反転させたが、片方の羽根がシルエットの剣の餌食となる。蝙蝠の羽根は、剣に切り取られて、地に落ちた。 痛烈な痛みと、ここまで来ての全ての裏切りにカプスは、吼えた。 カプスの声は、空気を揺らす。 その咆哮のまま、向かったのは、繋がれたフレアの元だった。 シルエットの一撃が、カプスの背を抉る。 それでもカプスは、フレアを握り締めて笑った。 「その者を殺せ!」 ロウスの声が辛辣に響くその中で、カプスは、転移した。 「フレア!」 クレアの悲痛な叫び声が、響く。 シルエットは、剣を鞘に納めるとクレアの方へと駆け出した。 「シル! もう、此処には用はない! 山へ急ごう!」
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