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反対側から、ラヴィアが走り込む。
ラヴィアの後ろには、魔物が倒れ、梟の翼を持った狼が控える。
「待て、おい、隠者! 篭を出ろ!」
シルエットが、篭の中に居るロウスを呼んだ。
「やれやれ。お前らは、最初からこれが目的だったのか」
ロウスが、篭を蹴り飛ばして外に出る。
「済まない。まさか、二人とも、捕まっているとは思わなかったし、キャンプの目前に置かれているとは思わなかったんだ」
ラヴィアが、すかさず謝った。
「まあ、いい。お前さんたちがやろうとしていたのは、差し詰、鍵の奪還と戦力の把握だろう?」
紅い瞳を動かして、ロウスはラヴィアとシルエットの前にしっかりとした足取りで近付いた。
「はっ。やっぱ、分かっていたのか。で、あんたは、結局、味方か敵か?」
シルエットの単刀直入な質問に、ロウスは曖昧に応じる。
「さあな。だが、炎の民の妖精が、新たな鍵だと言った覚えは無い」
それを聞いて笑ったのは、青白い顔をした銀髪の青年――ケテウスだった。
「そう言えば、そうだね。私が聞いた鍵は、もっと別のものだ」
「それって、どういうこと?」
ラヴィアは、ケテウスに振り替える。
ケテウスの不気味な笑みがある。
「あの堕天使は、壮絶な勘違いをしていたけれど、ロウスが選んだ鍵は、とても美しくて純粋だ。炎の民の妖精は、鍵を繋ぐ鎖でしかない」
「ロウスさん、分かりやすく答えてくれ!」
ラヴィアが、ロウスに助けを求める。
「封印石だ。炎の民の妖精が放つ炎で焼いたその石は、五層と六層を再び開く鍵となる」
ラヴィアの表情が見る間に変わる。
「――あの石が」
ラヴィアの口から呟きが零れた。
「ねえ、山へ行くんでしょう?」
クレアが、羽根を震わせる。
「わかった。山へ急ごう!」
ラヴィアが、珍しく血相を変えて、クレアに転移を頼んだ。
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