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少し時間は遡る。
ソイヌの祠の周辺は、色付いた落葉樹に囲まれていた。一面が黄色という、不可思議な空間にソイヌは、ひっそりと立っている。銀杏を不吉と象徴する理由のひとつが、バイカル山のその情景を物語る。
また、バイカル山の季節は、異常で、夏に雪が降ることもある。
風は、南風。ミネラグルンの銀髪を靡かせる。
ミネラグルンは、封印石を手に祠の中を覗いた。
蝋燭の無くなった場所に、封印石を置いて様子を眺める。
封印石は、燭台の上で蒼白い光を放ち、ソイヌを耀かせる。
それはそれで、芸術的であった。
ミネラグルンは、その耀きの前で最後の鍵を奪う計画を練る。
封印石だけでは、通路は開かないことをミネラグルンは先程気が付いた。
遅すぎるくらいであった。
ミネラグルンは、ソイヌから身体を抜いて、考える振りをしながら歩き回る。
本当のところ、鍵の正体は巫女ではないかとミネラグルンも勘違いを信じていた。
巫女があのときの娘であることをミネラグルンは知っていた。
だから、その巫女が攻めてくるのを待つか、探しに出るかで迷っていた。
だが、燭台に置いた封印石は、かっちりとはまって取れない。
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