2章 合流

7/10
前へ
/191ページ
次へ
3章 合流 ミネラグルンは疲れたように肩を竦めた。 そこに、気配が二つやってくる。 ミネラグルンは、臭いでそれを判断した。 「なぜ、貴方が、居るの!」 第一声を響かせたのは、巫女服の女であった。 ミネラグルンの眼差しに映る、二人の女は、ソイヌの入口前で立ち止まる。 「他の奴らは――?」 巫女服の女は、ティラと言ったか。その後ろに佇み、殺気を孕んだ眼差しを向けてくる眼鏡の女は、アルエラと呼ばれていたか。 ミネラグルンは、ティラの問いに答えるかを一瞬、間を置いた。 あのとき、戦った青年の姿を周囲に探したのだ。 奇襲を掛けられては、ひと溜まりもない。 ミネラグルンにしてみれば、眼前二人の女よりも、斬り込んできた青年の存在の方が大きかった。 「先に僕だけきたんだよ」 ミネラグルンは、惚けることにした。 二人の女も、組織の仲間が待ち伏せていることを気にしているのか、ミネラグルンに必要に近寄らない。 会話が届く範囲で、三人は向き合った。 「もっと近寄らない? 見たいでしょ? この中?」 ミネラグルンは、二人をて招いた。 二人が、動くことはない。ひたすら此方を警戒するだけであった。 ミネラグルンは、ソイヌに背中を預ける。 ソイヌは、ミネラグルンの背より高い。頭ひとつ先に、屋根がある。 打ち付けられた板は、雨風にさらされて、くすんでいた。その中にある燭台に、封印石は乗っている。光は、単調に点滅していた。 「他は? 儀式はまだなの?」 ティラの慎重な問いかけに、ミネラグルンは、言葉を返した。 「君を待っていたんだよ!」 その一言にティラの表情が強張る。 「迎えに行く手間が省けて良かった。とにかく、おいでよ。もっと近くで見たいだろうからさ」 ミネラグルンは、ティラのその強張る表情を楽しんだ。
/191ページ

最初のコメントを投稿しよう!

13人が本棚に入れています
本棚に追加