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3章 合流
ミネラグルンは疲れたように肩を竦めた。
そこに、気配が二つやってくる。
ミネラグルンは、臭いでそれを判断した。
「なぜ、貴方が、居るの!」
第一声を響かせたのは、巫女服の女であった。
ミネラグルンの眼差しに映る、二人の女は、ソイヌの入口前で立ち止まる。
「他の奴らは――?」
巫女服の女は、ティラと言ったか。その後ろに佇み、殺気を孕んだ眼差しを向けてくる眼鏡の女は、アルエラと呼ばれていたか。
ミネラグルンは、ティラの問いに答えるかを一瞬、間を置いた。
あのとき、戦った青年の姿を周囲に探したのだ。
奇襲を掛けられては、ひと溜まりもない。
ミネラグルンにしてみれば、眼前二人の女よりも、斬り込んできた青年の存在の方が大きかった。
「先に僕だけきたんだよ」
ミネラグルンは、惚けることにした。
二人の女も、組織の仲間が待ち伏せていることを気にしているのか、ミネラグルンに必要に近寄らない。
会話が届く範囲で、三人は向き合った。
「もっと近寄らない? 見たいでしょ? この中?」
ミネラグルンは、二人をて招いた。
二人が、動くことはない。ひたすら此方を警戒するだけであった。
ミネラグルンは、ソイヌに背中を預ける。
ソイヌは、ミネラグルンの背より高い。頭ひとつ先に、屋根がある。
打ち付けられた板は、雨風にさらされて、くすんでいた。その中にある燭台に、封印石は乗っている。光は、単調に点滅していた。
「他は? 儀式はまだなの?」
ティラの慎重な問いかけに、ミネラグルンは、言葉を返した。
「君を待っていたんだよ!」
その一言にティラの表情が強張る。
「迎えに行く手間が省けて良かった。とにかく、おいでよ。もっと近くで見たいだろうからさ」
ミネラグルンは、ティラのその強張る表情を楽しんだ。
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