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情勢の動きを含め、管理者側との接触通路確保。これからの道順をセイルーヌに伝えなければならない。
それが、あの三人に神器を与えるときに課せられた密約であった。
しかし、面倒な密約が、ロウには最大の幸運となっていた。
混乱の中で、情報をやりとりできる神が居る。最高の状態であった。
白梟が、ロウに三層の情報をもたらす。
四層では、打倒ケーイを掲げて軍が作られている。ケーイが五層に到達した時点で、軍をデッドレームから送り込むようだ。
ロウは、セイルーヌの判断に遺言はなかった。
デッドレームは、セイルーヌが管轄する密路だ。
緊急時にしか開かない、ロウも入口がどこに繋がるか知らない。
秩序混乱の最中に開かれるだろうその路は、精霊や妖精が使用する。
セイルーヌが、最弱と言う人間を集めた世界を護るための路であった。
「ロウ。僕らにも情報を分けてくれないかな?」
ラヴィアの声にロウは飛び上がるほど驚き、振り替える。
闇の中にラヴィアとティラの二人がいた。
どうやら、窓から屋根に出たらしい。
ラヴィアが、峰に座る。その傍らにティラが座り込む。
ロウは、白梟と共に二人がいる場所に移動した。
「寝ていればいいのに」
「ラヴィアに起こされたわ。ロウが誰かと話をしてるって言うから様子を見に来たのよ」
ティラは、ロウの鼻頭を指でつつく。白梟が、僅かに笑う。
「話ならば朝するゆえ、二人は休んでていいのだ」
ロウはやれやれと言葉を紡ぐ。
「眠れないんだよ。落ち着かなくて」
ラヴィアが言った。
「騎士殿はどうした?」
ロウは、聞き返す。
二人を追い返したところで、情報を伝えることに代わりはない。
ケーイの事情もある。
アルエラのことも気掛かりであったが、時間は止まらない。
「月並みな話で悪いのだが、三手に分かれようと思う」
ロウは、二人に切り出した。
「三手に? 纏まっていたほうがよくはない?」
若干、ティラが不安そうな顔をした。
「しかし、急ぎの用事が我には三つある」
ロウは、答えた。
「白梟から何か情報を得たんだね?」
察しよくラヴィアが聞いた。
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