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「うむ。まず、ひとつ目は神主殿のこと。あの麻薬売人は監獄を移動になるらしい。そうなると神主殿は益々危険な位置にある」
「ふたつ目は?」
ラヴィアが、間の手を入れる。
「ふたつ目は、組織がいよいよ儀式行為を開始する。場所はあのバイカル山だ」
「それって、通路を開くということ?」
ティラが、更に不安な表情を見せる。
「さよう。蝋燭もなく儀式に及ぶとなればロウスが力を貸したと見て間違いない」
ロウは、頷く。
「みっつ目は?」
ラヴィアが深刻な表情のまま、話を先に促す。
「神々の動きとケーイの動き。その他の情報を集めて戦略を練る会議に我は呼ばれた。その間、器を保管できる場所が欲しい」
「――!」
声にならない声を響かせたのはティラだった。
「儀式を止めてもケーイが這い上がってくる。そういうことか?」
ラヴィアも顔色は変わる。
「他の巫女たちは今、神々との伝達が遮断されている。ケーイのことを知っているのは我らだけだ。そして、戦えるのも、巫女――ティラとラヴィアとアルエラだけ。神々が動いた理由はわかるな?」
「ああ、なんとなく」
「想像は付くわ」
ラヴィアとティラが交互に言った。
「そう。神器でなければ、ケーイを倒せない」
「だとしたら、神器を返還するべきじゃないか? 神々は、少なくとも三、四、五層の管理者は丸腰だ」
ラヴィアが心配そうに刻まれた印を示す。
「戯け! 神々は神器などなくても人間や生物より能力値はある。そこにおんしらがいてやっとケーイに接近できる」
「どういうこと?」
ティラは聞き返す。
「管理者が関与できるのは、自分が管理している場所だけだ。人間に間接的にしか関与できない」
「つまり。運命を変えて欲しいと神に願っても神の力では変えることができないということ?」
「言い換えると、神は人間を助けたくとも階層が違う時点で運命を変える作業を手伝うことができないわけなのだ」
「どちらも同じことを言ってるのに、なんだか解りづらいな」
ラヴィアが苦笑した。
「むう。同じことを言ったのだ。理解せよ」
ロウがむくれる。
「私達が、神器を持つことで神々が他の階層に出てこれるってことでを言いたいのね?」
ティラが、ロウに聞いた。
「むむう。とにかく、そうなのだ」
「短くすると、神々が五層にくる。ケーイを倒しに?」
「なぜ、倒置法か解らんが、そうなのだ」
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