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「その会議にロウが行ってる間の身体保管――墓を連想するけれど、僕の小銭入れでよければ入れとくよ」
ラヴィアが、話を繰り返して、ロウに案を告げる。
「本当はティラの懐が良いのだが」
ロウが、ティラの胸元に視線を移す。白梟が、毛繕いを止めてロウを嘴でつついた。
ティラの笑い声が漏れる。
「ロウは、どんなときでもロウなのね?」
「む、我の墓場は、おなごの胸の中にある」
ロウはふんぞり返る。
「良いじゃないか。ひとつの問題は解決したんだから」
ロウを掴もうとしたティラを制してラヴィアは優しく言った。
「――それは、そうだけど」
ティラは、手を引いた。
「けど、笑ってくれてほっとした」
「へ?」
「カナンのことがあってから、表情が固まったままだったから」
「そう――気が付かなかった」
「僕だってつらいよ? アルエラさんはもっと」
「そのアルエラさんのこと、私がいく」
「わかった。だけど、無理はしないでくれよ?」
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「わかってる」
ティラが、深く頷いた。
「組織は、シルと僕で食い止める。神様が出てくれば早いんだけどケーイのことがあるんじゃ仕方ない」
「ええ――それで、アルエラさんの居場所はわかる?」
ティラが、ロウに訊ねた。
「アルエラ神主のところには、部下に案内させる」
「組織が儀式をする日取りは?」
ラヴィアが聞いた。
「五日後だ。奴らは、ケーイの一部で楽器を作るのが目的だ。神々を率いてでも阻止せねばならない」
ロウは、言った。ロウに集められた歴代の記憶が、ロウを不安にさせる。
歴代の組織潰しは、失敗が多い。
自分もしっかりしなければと思う反面で、元に戻るタイミングを見失っていた。
「五日か。それだけあれば馬でバイカル山に行ける。明日は馬の調達に行こうか?」
ラヴィアが、ロウの気持ちも知らずにいった。
「私は、ミサンガを作ってるわ。カナンに教えてもらって、途中なの」
「よし、そうと決まれば、もう一眠りしよう。シルには明日、僕から話しておくよ」
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